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中空構造の竹竿が2本 [バンブーロッド "Bamboo Rod"]

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"Asama Rod" マダケ中空 7' #3/4 (写真上) &
"Kuramochi Rod" トンキン中空 7'4" #3/4 (写真下)

"Asama Rod" マダケ中空 7' #3/4 と、"Kuramochi Rod" トンキン中空 7'4" #3/4。
このどちらもが、米国製のホロービルドロッドに多い隔壁を持ったセル構造ではなく、いわゆるフルート状(ストロー状)のチューブラー構造を持っている中空バンブーロッドです。

グラファイトロッドやグラスロッドといった繊維強化樹脂で作られたロッドが現在ではほぼ全てチューブラー構造になっていますが、なぜチューブラー構造なのか、まで考える人はあまりいないと思います。
複雑な理論は置いておいて物理の専門家以外でも簡単に理解できるのは、
同じ素材を使うとすればチューブラー構造の方がソリッド構造よりも軽くなること。
そして、いわゆるチューブラー効果と言われている、長いチューブ状の棒を曲げると、直径方向にひしゃげるように歪んだチューブが元の形へ復元しようとする力を、曲がりからの復元にも利用できるということです。

バンブーロッドを完全なチューブラー構造、それも薄壁で製作することは、現代の強力な接着剤があって始めて可能になったのですが、何人かのメーカーが、ソリッドロッドとは異なった中空バンブーロッドの可能性を追い求める過程で、ブランクを構成する竹素材の肉厚を極限まで薄くすることによっていろんなことが見えてきました。
ロッドの中空化がもたらすモノは、必ずしもメリットだけではなかったのです。

歴史的にみるとバンブーロッドの中空化は西海岸のメーカーによって、ロッドの重量を軽減するために始まりました。
反発力が同じものを軽量化するとパワーウエイトレシオが改善されるので、キャスティング能力も向上するのですが、最近になって、中空化によってプラスαされる要素として、中空バンブーロッドにおいてもチューブラー効果が見いだされてきたようです。

竹で構成されたブランクを極薄にするには竹という素材自身の強度的な限界があるのですが、たとえそれをクリアできたとしても、次に反発力の質が新しい問題として立ち上がってきます。

中空構造にするとバンブーロッドはパワフルになる、パワーが上がる、という話をよく聞くのですが、それはフライロッドとしての機能のある一面を捉えているだけで真実というわけではありません。
むしろ間違っている、と言った方が正しいと思います。

同じフルホロー構造といっても、壁面の肉厚によって、ソリッドロッドとほとんど変わらないロッドからほとんど別物じゃないかと思えるロッドまで、その特性はかなり変化するようです。
ただ、壁面を薄くすればするほど、ロッドの重量は軽くなり、かつチューブラー効果も大きくなるので、そのどちらがどのぐらい効いていいるのか、ということは微妙な問題です。

あきらかにソリッドロッドとは異なる感触を持ったチューブラーロッドがあるとして、
そのロッドが持っている特性とも言える現象として、すくなくとも低番手、#5以下のラインを使うロッドでは、キャスティング能力とキャスとしたときのフィーリングは明らかに向上します(グラスロッドからグラファイトロッドに持ち替えたように、ですね)。
ただ、ある限度を超えた大きな力を加えたり、過大な負荷が掛かったりすると、
突然、あれっ?って思うような「腰抜け状態」を感じる場合があります。
それは、ある距離以上にラインを伸ばしていったときや、大きな魚を掛けて寄せに入るときなどに発生します。
それまで感じていた竿の持っている張りのようなモノが一瞬にして失われる・・・、ような感じです。

いい竹竿独特の、どこまでもしなやかに追随する「粘り腰みたいなモノ」が消失する、わけです。

おそらく、無負荷~軽い負荷を掛けているときは、反発する力も反発する速度も十二分に得られるのですが、
ある限界以上の大きな負荷を掛けた場合に反発力が消えた感じがする、つまり入力や負荷の増加に応じた出力の増加が得られなくなるわけです。

これらはあくまで感覚的なことで、理論的に解析した結果ではないのですが・・・。

この問題点を解決するためには、中空構造をなすチューブの大径化か、チューブに(中空構造のメリットを失わないレベルで)それなりの肉厚を残すかという、グラファイトロッドと同様なアプローチが考えられます。
径が太くて薄いブランクか、細くて肉厚のあるブランクか、ということですね。

 

IMG_0290-800-1.jpg
バット部、グリップ直上のブランク径に注目してください。
同番手で、4インチ長いにもかかわらず、"Kuramochi Rod"の方が細いです。

 

この2本のロッドは、その異なったアプローチを採った例でもあると思います。

"Asama Rod" マダケ中空 7' #3/4 (写真上) が、薄いブランクのまま大径化することによって、
"Kuramochi Rod" トンキン中空 7'4" #3/4 (写真下) は、小径のままで壁面を厚くする方法で負荷が大きくなったときのトルクの増加を計っています。

もちろん、アクションが、"Asama Rod" マダケ中空 7' #3/4 はファーストテーパーのプログレッシブ、"Kuramochi Rod" トンキン中空 7'4" #3/4 はヤング系のセミパラボリック、という違いがあるので、同じアプローチは採れないわけですが・・・

 

"Kuramochi Rod" トンキン中空 7'4" #3/4 
この竿はポール・ヤングのテーパーをクラモチロッド的に解釈することによって作られています。
"Asama Rod" マダケ中空 7' #3/4 がシャープなループでピンポイントをタイトに狙う釣りを得意にするのに対し、しなやかなロッドの全体を使ったトリックキャストやループコントロールがしやすいように感じます。

ミニマムなデザインの中に独特の冴えを感じる細部などの詳細は、次の機会に。

 

 

 


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marutaka

うーん、凄く共感できました。
やっぱり中空構造の竹竿をもってしても、万能ではないと云うことなのですね。
私の場合は1番手重いシルクラインを使った時に、同じような感覚がありました。
by marutaka (2010-04-01 20:34) 

あき

やはり適材適所なんだと思います。
それに中空ロッドって弄れるところが多いし、未だ定石ができていないので玉石混淆ですしね。
天才的とまで言われるメーカーでも、あえて中空ロッドを製品化しない方もいらっしゃるようですし。

才能あるメーカーによる試行錯誤によるフライロッドの多様化と、選択肢の豊富さが、ユーザーにとっての楽しみでもあり、また悩みでもあり・・・

ただ、こうなってくると実際にラインを通して振ってみないことには、恐ろしくって・・・(^^ゞ
by あき (2010-04-02 08:40) 

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